写真・文:しみずことみ
由木の町に、夏のまつりの気配が戻ってきました。
その先陣を切るように開かれたのが、松木町会の夏祭りです。
会場は、大田川の板橋のすぐそばにある松木会館。
この日は小学校の終業式もあり、子どもたちの顔にはどこか解放されたような、はじける笑顔が見えました。
私も、そんなひと夜にそっとお邪魔してきました。
松木会館に集う人々
2025年7月19日。
まだ空に明るさの残る夕刻。
松木会館の前にはすでにたくさんの人が集まり、屋台や提灯のあかりが灯りはじめていました。
子どもも大人も、思い思いにテーブルを囲み、祭りを楽しんでいます。
提灯に照らされた会館の文字と、並ぶ屋台の白い幕が、日常の場所を特別な空間に変えていました。

▲提灯の明かりに照らされる屋台。夜が深まるにつれ、人の輪はさらに広がっていきます。
子どもたちの声に包まれて
あちこちから響くのは、子どもたちのにぎやかな声。
松木町会は子ども会の人数が多いと聞きましたが、そのとおり、元気いっぱいに駆け回る姿がどこにいても目に入ります。
景品を手にした子、かき氷に夢中の子。
夕暮れとともに、町全体が子どもたちの遊び場になっていくようでした。

▲松木会館の前に並ぶかき氷の屋台。冷たい氷が、ひとときの涼しさをくれました。
夕空とまつりの灯り
取材の途中、ふと見上げると空が赤く染まりはじめ、淡いオレンジと青が混じりあう幻想的な夕焼けが広がっていました。
それでも、参加する人たちは空の美しさよりも、目の前の祭りに夢中です。
提灯のあかりがひとつずつ夜を迎え、子どもたちの声と太鼓の音が響きつづける。
この町の日常のなかに、ひっそりと息づいている夏の夜の光景でした。

▲赤く染まる夕空の下、提灯が灯り、人々の笑い声が響いていました。空と地上が、ひとつの物語のように重なります。

▲大田川の板橋のたもとから見た会場全景。町の人々が集まる、年に一度のひと夜です。
人が集まる場所があるということ
大きな神事や儀式でなくても、こうして人が集まり、笑い声を交わす時間は、暮らしの祈りのようにも感じられます。
松木には、みんなが自然に集える場所があり、その場所を守る人たちがいる。
そのことが、この町のつながりを生かしつづけているのだと思いました。
またひとつ、記憶に残る夏の夜となりました。
写真・文:しみずことみ

関連記事
- 静かに息づく足もとの自然──小林健人さんと“由木の植物”をめぐる記録
由木の植物から、記録の眼差しを学んだ日。 - 近くの森に「生き方」をみる――長池公園で草木ウォッチング
身近な草木の姿に、生き抜く知恵と美しさを見つける - 春の神楽と祈りの道 ─ 鑓水諏訪神社 春の大祭より
祭りの音とともに記憶をたどるフィールドノート - 学びと通学路の記憶 ─ 永林寺から南大沢へ
歩きながら、昔の通学路に重なる記憶を感じた記録散歩。
