由木の小さな歴史の痕跡を探しておさんぽ

由木を歩く──由木ぶら散歩の会の記録

第3回ぶら散歩|南大沢の歴史を感じる神社と祠を訪ねて─神社と祠と、みんなで笑った道すがら | 東京都八王子市南大沢

梅雨入り前、穏やかな空の下で

2024年6月17日、梅雨入り前の貴重な晴れ間に恵まれたこの日、第3回目となる「ぶら散歩」が開催されました。
集合場所は、京王相模原線南大沢駅のすぐ側にある中郷公園。時折、初夏の日差しが少し強く感じられる午後でしたが、時間が経つにつれて雲が広がり、散歩にはちょうどよい心地よさで、参加者は総勢12名でのにぎやかな散歩となりました。

[写真解説]南大沢駅からすぐの中郷公園に集合した参加者たち。初夏の空の下、3回目のぶら散歩が始まります。


南大沢の神社と祠をめぐる小さな旅

南大沢日枝神社

住宅街の中にひっそりと佇むこの神社は、地域の人々に長く親しまれてきた存在です。鳥居をくぐり境内に立つと、普段は気づかない静かな時間が流れていることに気づきます。佐藤さんの解説を受けつつ、参加者たちは真剣に耳を傾け、時には「昔はこの辺りも随分と様子が違ったね」と懐かしむ声も聞かれました。

[写真解説]南大沢日枝神社の境内へと続く階段を上がる参加者たち。かつてこの鳥居の前では、学校へ向かう子どもたちが一礼して通ったといいます。記憶に根ざす道とともに歩みます。

[写真解説]南大沢日枝神社の境内に静かに佇む富士講の碑。「参明藤開山」の文字が刻まれ、かつての富士山信仰の息吹を今に伝えています。

[写真解説]「南大沢清水入講中」の刻銘が見られる天神社の祠。学問の神・菅原道真を祀り、地域の講中(村の組合)の信仰を今に伝えています。

[写真解説]左は日枝神社境内に祀られる不動尊像。右の念仏供養塔は、かつて柏木谷戸にあった藁葺き屋根の覆屋の中に安置されていたとされ、開発にともなって現在地に移されたものだと佐藤さんから解説がありました。

[写真解説]日枝神社に隣接する日原坂竹林公園にて。参加者たちはそれぞれの興味に合わせ、写真を撮ったり草木を観察したりしながら、ゆったりとした時間を過ごしていました。


南大沢薬師堂 奥山半僧坊大権現

小さなお堂のたたずまいは素朴ながらも歴史を感じさせ、訪れる者に不思議と安らぎを与えます。神仏習合の名残を伝えるこの場所で、参加者同士は自然と足を止め、手を合わせる姿も見られました。

[写真解説]南大沢薬師堂を訪ねる参加者たち。かつて大沢村にあった東光寺に祀られていた薬師様は、明治初期の廃寺を経てこの地に移され、地域の人々の信仰を今も静かに受け継いでいます。

[写真解説]薬師堂の内部に安置されたご本尊。向かって左が東方薬師瑠璃光如来像、右が奥山半僧坊大権現。いずれも地域の信仰を今に伝える尊像として、大切に祀られています。


南大沢八幡神社

氏神様として地域を守り続けてきたこの神社では、佐藤さんの詳しい説明を受けながら、みなさん熱心にメモを取る様子が印象的でした。由緒ある神社を前に、自然と歴史談議にも花が咲きます。

[写真解説]南大沢八幡神社の拝殿前にて。佐藤さんによる丁寧な解説に耳を傾けながら、参加者たちは熱心にメモを取り、地域の歴史に思いを馳せていました。

[写真解説]南大沢八幡神社の鳥居近くには、地蔵尊や地神塔、御大典記念の道標など、多くの石仏や石碑が祀られています。参加者たちは一つひとつに目を留め、静かに手を合わせていました。

[写真解説]祠の台座には「氏子中」「セハ(世話)人」「村役人」の文字が刻まれ、かつての地域の自治や役割分担の名残を伝えています。こうした刻銘からも、神社と地域のつながりの深さが感じられます。


末廣稲荷大明神

赤い鳥居と小さな祠が迎えてくれるこの場所では、地域に根付く信仰のかたちに触れることができました。
「こういう場所が身近にあるのって、改めて考えるとすごいことですね」——そんな感想があちこちから聞こえてきました。

[写真解説]赤い鳥居が印象的な末廣稲荷大明神。参加者は、地域に残された祠のかたちや意味を静かに観察していました。信仰の場としてというより、地域の歴史や文化への関心がうかがえるひとときでした。


思い出話と笑い声が響く道すがら

今回の散策中、思わぬひとコマもありました。
道端に生えている草の実を見つけた参加者の女性が、懐かしそうに「子どもの頃、これをよく食べたのよ。美味しいの」と紹介してくれたのです。
興味津々で何名かで試してみたところ、実際は渋くて棘だらけ。思わず「本当に食べていいの?」と笑いがこぼれ、お腹を抱えてみんなで大笑いする場面となりました。
こうした何気ないやりとりも、ぶら散歩ならではの楽しみのひとつです。

[写真解説]緑の木陰に包まれた歩道を、それぞれのペースで歩く参加者たち。おしゃべりを楽しむ人、静かに景色を味わう人——ぶら散歩の魅力は、そんな自由な時間にもあります。


ぶら散歩が紡ぐ、地域と人との新しい関係

この日は、通常なら30分ほどで巡れる距離を、実に2時間かけてじっくりと歩きました。
神社や祠をめぐり、草花に目を留め、そして時折立ち止まって談笑する——そんな一歩一歩が、地域の魅力を再発見する時間となったのです。
散歩のあともグループLINEでは写真や情報のやりとりが続き、参加者同士の交流はますます活発に。
「普段も歩くようになった」「また次が楽しみ」といった声も増え、ぶら散歩は、地域を学ぶ場であると同時に、人と人との新たなつながりを育む場としても定着しつつあります。
これから訪れる夏は、屋内での座談会を中心に活動を続け、涼しくなった頃に再び地域を歩く予定です。
由木の今を知り、人とふれあい、穏やかに時間を重ねる「ぶら散歩」は、これからも続いていきます。

[写真解説]陽光の差し込む境内に並ぶ狐像。末廣稲荷大明神の神使として、静かに場を守り続けています。


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【シリーズ】由木を歩く── 由木ぶら散歩の会の記録


次回予告

次回もまた、地域の歴史や自然、人との出会いをテーマに歩みを続けていきます。詳細は決まり次第、サイトやLINEにてお知らせしますので、どうぞお楽しみに!


参加方法・会場案内

「ぶら散歩」は、毎月第2月曜日に定例会を行っています。どなたでもお気軽にご参加ください。

開催日時毎月第2月曜日 15:30〜17:00
会場子育て広場「いずみ」
〒192-0364 東京都八王子市南大沢5-12
アクセス南大沢駅より徒歩12分 または 京王バス「だいり谷戸公園」下車 徒歩5分

お問い合わせ・申込先

高齢者あんしん相談センター南大沢(担当:青山)


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