新緑がまぶしい4月の一日、由木ぶら散歩会は第11回目を迎えました。今回の舞台は、かつて子どもたちが通った「学校道」。静かに時を刻む永林寺を訪ね、旧道をたどりながら、南大沢までの道のりを歩きました。ただ記録するだけではなく、風景の中に残る記憶や、心に響く瞬間に触れる時間となりました。

[写真解説]大きなスロープになっているこの道は、かつては未舗装で直接山に入っていくスタイルだったようです。かつて子どもたちは、この距離を、山道を毎日学び舎へ通いました。
朱塗りの門の向こう、静謐な祈りの空間──永林寺を訪ねて
まずは由木中央市民センターを出発し、最初の目的地・永林寺へ。事前に許可をいただき、参加者20名分のパンフレットも用意していただいていました。


[写真解説]永林寺でいただいたパンフレット。

[写真解説]永林寺の山門。朱色が青空によく映えていた
また、境内の手入れの行き届いた植栽にも、植物に関心のあるメンバーから感嘆の声があがりました。歴史と自然の調和を感じるひとときです。

[写真解説]墓誌に注目する人、植栽の美しさに感嘆する人。参加者の興味は様々ですが、それを共有することで学びも楽しみも広がります。

[写真解説]それぞれの体調に合わせて参加するのがぶら散歩スタイル。途中のバス停で帰宅する参加者にみんなが握手を求めています。
ギョイコウの桜に誘われて
永林寺をあとにし、学校道の途中、富士見台公園に立ち寄りました。
数日前、ぶら散歩の会のグループLINE内で話題になった緑色の桜「ギョイコウ」。せっかく近くを通るならと、みんなで話し合いの末、寄り道が決まりました。

[写真解説]ギョイコウ桜。淡い緑色が優しく目に映る

[写真解説]近くで見ると確かに緑色。だけど「花」なのが不思議で幻想的。

[写真解説]ギョイコウを前にこの日一番の盛り上がりを見せる参加者たち
目の前に広がる緑の桜に、皆が子どものようにはしゃぎ、写真を撮り合います。当初の目的であった学校道からは少し外れた「寄り道」でしたが、春ならではの贈り物のような、心温まるひとときとなりました。
記憶と今が重なる切り通し
学校道に戻り、都立大学の敷地を抜けると、切り通しが現れます。ここは、「昔、子どもの頃に通った記憶そのままの道だ」と、地元の古老が教えてくれました。

[写真解説]切り通しの道。時代を超えて今も人を迎えてくれる。

[写真解説]すぐ右側はちょっとした崖で、立ち入りも制限されています。
足を踏み入れた瞬間、この道を実際に通学していた佐藤さんは「あっ…」という声を静かに漏らしました。
懐かしさ、驚き、嬉しさ…。記憶の奥底にしまわれていた景色が、そっと顔をのぞかせる瞬間でした。舗装された現在の道は歩きやすくなっていますが、その形や空気感は、昔のままの姿をとどめているようでした。
南大沢の駅で、また次の物語へ

[写真解説]歩いた歩数は約15,000歩。南大沢駅に到着したときには、心地よい疲労と達成感に包まれていました。
解散後に行われた有志でのお疲れ様会では、まるで学校帰りの寄り道のように、歩いた道の話や昔の思い出に花が咲きました。かつて子どもたちが日々歩いた学校道は、今も静かにそこにあり、私たちのような「歩く人」を温かく迎えてくれます。これからも、そんな道をひとつずつ訪ね、記憶と風景をつないでいきたいと思います。

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次回予告
次回もまた、地域の歴史や自然、人との出会いをテーマに歩みを続けていきます。詳細は決まり次第、サイトやLINEにてお知らせしますので、どうぞお楽しみに!
参加方法・会場案内
「ぶら散歩」は、毎月第2月曜日に定例会を行っています。どなたでもお気軽にご参加ください。
開催日時 | 毎月第2月曜日 15:30〜17:00 |
会場 | 子育て広場「いずみ」 〒192-0364 東京都八王子市南大沢5-12 |
アクセス | 南大沢駅より徒歩12分 または 京王バス「だいり谷戸公園」下車 徒歩5分 |