由木の小さな歴史の痕跡を探しておさんぽ

動植物フィールドノート

タマノカンアオイ | 都立長沼公園 | 東京都八王子市長沼

観察日2025年11月17日
場所都立 長沼公園
東京都八王子市長沼
植物名タマノカンアオイ
分類ウマノスズクサ科 カンアオイ属(常緑多年草)

観察の状況

この日は、長沼公園で行われた自然観察会に参加。
丘陵地レンジャーの方の案内で、細い山道をゆっくり歩きながら、足元の小さな植物にも目を向けていった。

道の脇に切り立つような崖の斜面があり、そこに陽が差し込んで、落ち葉がほのかに明るく見える瞬間があった。レンジャーの方がふと立ち止まり、「ここにタマノカンアオイがあります」と教えてくれた。

崖の斜面をのぞき込むように視線を落とすと、丸みのある濃い緑の葉が、土のうえにしっかりと根づいていた。こんな急な場所にも静かに息づいていることに、まず驚いた。

タマノカンアオイを見るのは、この日が初めてだった。
小林健人さんの講演で名前を知ってから、ずっと実物に会ってみたいと思っていたので、やっと出会えたような気持ちで、胸の奥がふっと熱くなるような嬉しさがあった。

特徴と描写

葉は厚みがあり、つやのある深い緑で、表面には細かな模様が浮かんでいた。
乾いた落ち葉や崩れやすい土に囲まれているのに、その葉だけはしっかりと立ち上がり、崖の傾斜に負けない強さを感じた。

風が吹くと周りの草は揺れるのに、タマノカンアオイはほとんど動かず、そこに根を張ったまま静かに佇んでいた。危うさのある斜面だからこそ、余計にその存在感が際立って見えた。

記録者の印象・気づき

名前だけ知っていて、ずっと探していた植物にようやく会えた瞬間だった。
崖の斜面という、少し意外な場所で出会ったことも印象に残っている。
花は地面すれすれに隠れるように咲くという。その姿をいつか自分の目で見てみたい。落ち葉の下をそっと少しだけめくりながら、静かにその姿を探す日が来るのだろうか。
観察会のように誰かと歩く時間は、植物との距離を近づけてくれるように思う。
ひとりでは気づけなかった出会いを分けてもらったような一日だった。

補足メモ

タマノカンアオイは多摩丘陵でよく見られる常緑多年草。
斜面や林縁など、やや暗く乾きやすい場所を好む。
花は落ち葉の下に隠れ、特徴的な壺形で開花するが、見つけるのは難しい。

写真・記録:しみずことみ

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