写真・文:しみずことみ
自転車でふらりと出かけたある日、少しだけ足を延ばして訪れたのは、住宅街の奥にひっそりと佇む金比羅宮でした。
どこまでが自分の「地域」なのかも分からないまま、ただ気の向くままにレンズを向けたあの頃の記憶とともに、この場所の静けさが今も心に残っています。
ふらりと寄り道した先で
2022年の秋。
地域を知るために走り回っていた私は、とにかく行ける場所は全部訪れてみようと、見知らぬ住宅街の中へ自転車を進めていました。
そんな時、偶然目に留まったのがこの金比羅宮です。
調べてみると、ここはスタジオジブリの映画『耳をすませば』の舞台のひとつ。
鳥居や石段など、どこか見覚えのある風景がいくつもありました。
とはいえ、映画の中とは少し様子が違っています。
かつては木々に囲まれ、昔ながらの神社らしい雰囲気だったのでしょう。
けれど現在では、鳥居の目の前まで住宅が迫り、神社全体が静かな住宅街の一角に収まっています。
それでも、映画の面影はふとした瞬間に感じられました。
隣には霞ヶ関保全緑地、反対側には「耳をすませば」のもうひとつの象徴的な場所、桜ヶ丘いろは坂が控えています。
この場所が今も残されているということ自体が、どこか特別なことのように思えました。





この場所は、今も昔も人とともに
訪れたときは、「由木」のことも、まだ深くは知りませんでした。
それでも、どこかで由木と唐木田、そしてこの桜ヶ丘が、山や谷を通じて緩やかに繋がっていることは感じていました。
この金比羅宮も、昔はもっと人と自然が交わる場所だったのかもしれません。 かつての面影を想像しながら、この場所を記録することで、少しだけ時間を巻き戻したような気持ちにもなりました。
写真・文:しみずことみ
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