写真・文:しみずことみ
由木から少し足を伸ばした町田の丘に、縄文から弥生へと続く暮らしの跡が静かに息づいていました。本町田遺跡を訪れ、かつての人々と水辺の暮らし、そして由木とのつながりに思いを馳せた記録です。
用事の途中、思いがけず出会った遺跡
藤の台団地へ向かうため、由木の自宅から自転車を走らせていたある日。ふと視界に入った「本町田遺跡」の案内板に、私は思わずハンドルを切りました。かねてよりその名は知っていたものの、訪れるのはこれが初めてです。小高い丘の上、静かにたたずむ復元住居と広がる緑。その空間は、現代の喧噪とは隔絶された、どこか懐かしい空気に包まれていました。


縄文から弥生へ。暮らしのかたちは移り変わる
ここ本町田遺跡では、約5500年前の縄文時代から弥生時代中期にかけての生活の痕跡が見つかっています。水場に近く、適度な高低差のあるこの地は、狩猟採集だけでなく、後の稲作にも適していたのでしょう。復元された弥生時代の住居の内部に入ると、時代を超えた生活の息吹が感じられました。
天井を支える太い丸太、わずかな光しか入らない薄暗い室内。かつてここで人々が火を囲み、食事をし、家族と過ごした日常が想像できます。

石から鉄へ。技術の変遷を示す展示
屋外には、石斧と鉄斧による伐採跡の比較展示もありました。石から金属へ。道具の変化は、生活の質や労力の軽減に直結する大きな技術革新だったのでしょう。こうした変化もまた、時代のうつろいを物語っています。

由木と本町田。地形が導く共通点
この遺跡を訪れたことで、私はふと由木地域の遺跡群を思い浮かべました。大栗川沿いに点在する縄文集落跡と、ここ本町田の風景。いずれも「水と土地の恵み」に寄り添った場所であり、人が集い、暮らしてきた歴史があります。少し離れた場所にありながら、時代を超えて共鳴するもの。それは人間の営みの本質とも言えるのかもしれません。
こうして本町田遺跡を歩きながら、私は由木の記録活動にも新たな視点を得ることができました。足元の土地を知ることは、少し先の地域や過去を知る手がかりになる——そんな想いを胸に、再び自転車にまたがり、帰路につきました。

写真・文:しみずことみ
アクセス
施設名 | 本町田遺跡公園 |
所在地 | 〒194-0032 東京都町田市本町田3455 |
入園料 | 無料 |
開園時間 | 午前9時から午後4時30分 |
休園日 | 月曜日 ※祝日・振替休日にあたるときは開園してその翌日休園 ※年末年始(12月28日から1月4日) ※その他(整備期間中など) |
駐車場 | あり ※7台分 |
交通アクセス | [バス利用の場合] ・町田バスセンター11番乗り場から、藤の台団地行き・鶴川団地行き・鶴川駅行きバスで、「市立博物館前」下車、徒歩7分。 ・小田急線鶴川駅1番乗り場から町田バスセンター行きバスで、「市立博物館前」下車、徒歩7分。 ・小田急線玉川学園前駅北口のバス乗り場から、町田市地域コミュニティバス(玉ちゃんバス)の北ルートで「朝日公園」下車、徒歩15分。 |
公式サイト | 町田市ホームページ内 |
町田市内には遺跡がたくさん

町田市考古資料室webサイトよりスクリーンショット(24.05.25閲覧)
遺跡名 | 所在地 |
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田端環状積石遺構 | 東京都町田市小山町3112-2 |
小山田1号遺跡 | 東京都町田市小山田桜台2丁目16-32 |
忠生遺跡B地区 | 東京都町田市根岸町1006-5 |
木曽中学校遺跡 | 東京都町田市木曽西2丁目4-9 |
本町田遺跡 | 東京都町田市本町田3455-36 |
高ヶ坂石器時代遺跡 八幡平遺跡 | 東京都町田市高ヶ坂2丁目2 |
高ヶ坂石器時代遺跡 牢場遺跡・稲荷山遺跡 | 東京都町田市高ヶ坂2丁目43 |
平和台遺跡 | 東京都町田市能ヶ谷7丁目25 |
三輪白坂横穴群 | 東京都町田市三輪町1720-1 |
三輪南遺跡A-9地点 | 東京都町田市三輪緑山3丁目14 |
西谷戸横穴墓郡 | 東京都町田市三輪緑山1丁目25-8 |
下三輪玉田谷戸横穴墓郡 | 東京都町田市三輪町897 |