由木の小さな歴史の痕跡を探しておさんぽ

地域のまつりと祈り

大塚団地ふるさと祭り──「自分のふるさと」と思える場所で | 東京都八王子市大塚

写真・文:しみずことみ

2025年7月20日、大塚団地公園。
雲ひとつない夏の空が、どこまでも澄み渡っていました。
気温は34度を超えていましたが、湿度は低く、風が吹くたびに木々の葉がさらさらと音を立て、暑さを忘れさせてくれるようでした。
この大塚団地ができたのは、約60年前のこと。そして、ここで「ふるさと祭り」が始まったのは27年前のことだそうです。
当時、この団地で育つ子どもたちに、「ここが自分のふるさとだ」と思ってもらえるようにと、住民たちが手作りで始めたお祭りだったといいます。
そのときに生まれたオリジナルの「大塚団地音頭」も、ずっと大切に歌い継がれてきました。

準備中の会場で

大塚団地公園に着いたとき、ちょうど子ども神輿が町内へ出発したところでした。
会場では、自治会の人たちがテントの下で忙しそうに動き、鉄板の上では焼きそばがジュウジュウと音を立てています。

風に揺れる提灯の影が芝生に映り、色とりどりのメニューが並びます。
手作りの屋台から漂う、からっとした唐揚げの匂い。
ラムネの瓶を手に青空にかざしてみると、ひんやりとした感触が胸に残りました。

この祭りを支えるのは、自治会や住民の有志の人たちだけではありません。
東京アニメーションカレッジ専門学校とご縁のある住民の方のつながりから、プロのアーティストや学生たちも加わり、この日も屋台に立ち、一緒に盛り上げていました。
誰もが「この場の一部」であることを、自然に受け入れているようでした。

▲焼きそばの香りが広がる屋台。

▲冷たいラムネを手に、空を見上げてみる。夏のひとときが、そこにありました。


子ども神輿の帰還

太鼓の音が遠くから響き、子どもたちの掛け声が近づいてきます。
坂の上から見えたのは、小さな神輿を担ぐ子どもたちの姿でした。
一歩ずつ進むその背中が、とても頼もしく見えます。

公園の階段の下までくると、今度は大人たちが神輿を担ぎ、階段を上がっていきました。
その姿を見送りながら、自治会の役員の方に話を聞かせてもらいました。

「ここは、初めに入居した世代の孫たちがもう大人になっていて、みんなでできることを持ち寄っているんです。無理のないように、でも、できるだけ続けていけたらと…」

言葉のとおり、会場のどこを見ても笑顔があふれ、穏やかで、あたたかい空気が流れていました。

▲掛け声とともに元気に帰ってきた子ども神輿。その姿が、まぶしく見えます。

▲公園の階段を、大人たちが神輿を担いで上がります。団地の坂とともにあるお祭りです。


夕空とまつりの灯り

帰るころには、陽はますます高く昇り、木陰の涼しさがひときわありがたく感じられました。
見上げると、赤白の提灯がそよ風に揺れていて、その下で人びとが談笑していました。

昨今、中止や縮小するお祭りが増えています。
それでも、ここでは変わらずに続けられ、守られている。
そうした風景の中にいると、また来年もこの場所で、みんなの笑顔に会いたいと、自然に思えてくるのでした。

写真・文:しみずことみ

▲ステージに掲げられた「大塚団地音頭」の歌詞。祭りの空気を彩る大切な言葉です。


関連記事

【シリーズ】由木を歩く── 由木ぶら散歩の会の記録


RECOMMEND
注目記事
全期間
週間
月間

RELATED

PAGE TOP