文・写真 しみずことみ
所在地: 東京都八王子市堀之内
撮影日: 2025年11月
堀之内の高台に、愛宕神社があります。
いまは「堀之内沖ノ谷戸公園」として整備された緑地に囲まれ、すぐそばまで住宅地が迫っていますが、もともとは谷戸の地形に寄り添うように建つ、小さな鎮守でした。

多摩ニュータウン開発が始まる前、ここは段丘の端にあたる静かな一角で、周囲には田畑や谷戸の風景が広がっていたといいます。
木々に囲まれた社殿へ続く参道は、今もその面影をわずかに残していました。

開発の流れのなかで、この地域の風景は大きく姿を変えました。
山林の買収や造成、新しい道路の敷設と公園の整備。
境内に残された記念碑には、その経緯が静かに刻まれていました。
こうした変化のなかでも、愛宕神社は場所を動かず、ただここで土地の歴史を見つめ続けています。


最近、ニュータウンに残る神社を歩くたびに思うことがあります。
開発に伴う交渉のなかで、地元の方々が守ろうとした社があり、その積み重ねによって、今日まで残った鎮守が多いのではないかということ。
人口が増えたことでお賽銭が増えたり、かつて「社の杜」だった場所を公園として整備することで行政の管理が入り、結果として環境維持につながった例もあります。
地域によっては寺社が減っているとも聞きますが、信仰としてだけでなく、地域コミュニティの拠り所としての役割は、とても大きいように感じます。

▲沖ノ谷戸公園に残る大正時代の炭焼窯跡
土地の鎮守を大切にしていくことは、自分たちの暮らす場所を思う気持ちにもつながっていく。
この数年、記録を続けるなかで、その思いはいっそう強くなりました。
境内を進むと、木々のあいだから光が差し込み、踏みしめる落ち葉の音が、ゆっくりと響きます。
足を止めるたびに、どこか昔の記憶がふっと立ち上がるような気配がありました。
町の姿が変わり続けても、変わらずそこにある存在。
谷戸の空気をまといながら、今日も静かに、この土地を見守っている神社でした。

▲沖ノ谷戸公園見晴台から望む富士山
