由木の小さな歴史の痕跡を探しておさんぽ

小さな寄り道

境川のほとり、静かに佇む祈り — 二十三夜堂 | 神奈川県相模原市東橋本

写真・文:しみずことみ


東京都と神奈川県のちょうど境目。町田市から相模原市へと渡る蓬莱橋を越えたすぐ先に、ずっと気になっていた小さなお堂があります。それが「二十三夜堂」。これまで何度も素通りしてきたこの場所に、ようやく足を止めることができました。

橋とともに祀られた二十三夜様

二十三夜堂は、今からおよそ240年以上前、旧・精進橋(現・蓬莱橋)にまつわる橋供養の際に祀られたものだそうです。かつてこの橋を渡ることは、人々にとって日常であり、時に命がけの行為でもあったはず。だからこそ、橋に魂を込め、無事を祈るための存在が求められたのかもしれません。

今では車や自転車、そして徒歩で気軽に行き交う蓬莱橋。ですが、時代が移り変わっても、この場所を見守る二十三夜様の役目は変わらないように思えます。


子どもたちの声が響く道で

取材中、保育園の子どもたちと先生が、お散歩の途中で通りかかりました。
「白い線よりお外に出ないんだよー」
そう優しく声をかけながら、安全を気遣う先生の姿が印象的でした。
目の前の小さな命を守り、導くその様子は、まさにこのお堂の祈りと重なるものがあります。
二十三夜様は、今もこうして日々の暮らしとともにあり、行き交う人々を静かに見守り続けています。


小さな祠に宿る物語

現代では、こうした道端のお堂や石仏は、意識しなければ見過ごされがちな存在かもしれません。しかし、それぞれが土地の歴史や人々の営みを今に伝える、かけがえのない語り部です。由木の地にも数多く残る祈りの場と重ね合わせながら、私は改めてこの場所の意味を思いました。
ほんの少し足を止め、耳を澄ませてみると、日常の中にひっそりと息づく「小さな祈り」の声が聞こえてくる気がします。

写真・文:しみずことみ


アクセス

名称二十三夜堂
所在地〒252-0144
神奈川県相模原市緑区東橋本4丁目14
駐車場なし
駐輪スペースあり
本尊勢至菩薩
創建安永十年(1781年)4月
目的橋供養
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