八王子空襲から81年。
今日、大栗川縄文クラブの活動に参加し、由木地域の新住民の語り部・平野雄司さんのお話を伺いました。
会場となったファミリーイン堀之内には、入居者の方々が集まり、小学校一年生だった頃に体験した山手大空襲( 通称:第二次東京大空襲 )の記憶から、現在の地域への思いまで、ゆっくりと耳を傾ける時間が流れていました。

戦争のお話と聞くと、どうしても悲惨な出来事や歴史そのものに意識が向きます。
けれど、この日、平野さんが何度も繰り返していたのは、「平和は日々の暮らしの中にある」ということでした。
子どもたちと挨拶を交わすこと。
バスで席を譲ること。
地域を好きになってもらうこと。
八王子を、自分のふるさとだと思える人が増えてほしいという願い。
そんな一つひとつの出来事を、笑いを交えながら語る姿は、戦争体験を伝えるというよりも、「どう生きてきたか」を聞かせていただいているようでした。

配布された資料には、子ども向けにまとめられた八王子空襲の冊子もありました。
資料は残すことができます。
けれど、その時代を生きた人の声の調子や、笑顔、間の取り方までは、紙に残すことはできません。
人と向き合い、耳を傾ける時間そのものが、記憶を受け継ぐ場なのだと感じました。

この日参加した大栗川縄文クラブは、「縄文」を考古学として学ぶだけの団体ではありません。
配布された資料『なぜ、縄文時代か』では、約一万三千年続いた縄文時代を、自然と共生し、大規模な戦争の痕跡が少ない社会として紹介しています。
その暮らし方や価値観を現代に重ね合わせ、「人が穏やかに生きる知恵」を学び直そうという思いが、この活動の根底にあります。
だからこそ、この日に平野さんの戦争体験を語る時間が設けられた意味も、自然と理解できました。

実は私は、以前から大栗川縄文クラブへの参加をお誘いいただいていました。
今回、私が参加することを決めた理由は、縄文時代そのものへの興味だけではありません。
平野さんが繰り返し話されていた、
「人と人が挨拶を交わすこと。」
「思いやりが平和につながること。」
という考え方に、私は自分の記録活動との共通点を感じたからです。
私もまた、地域に残る風景や出来事だけではなく、人と人とのつながりや、そこに流れる空気を記録したいと思いながら歩いています。
記録することは、過去を保存することではなく、未来へ手渡すこと。
その思いは、大栗川縄文クラブの活動とも、静かにつながっているように感じました。

また一つ、この地域でご一緒できる仲間が増えました。
これから、この場所でどんな出会いがあるのか。
その時間も、少しずつ記録していきたいと思います。
[写真・文]しみずことみ
[取材日]2026年8月3日(月)
[会場]社会福祉法人清心福祉会 ファミリーイン堀之内

